「ドライ・マティーニ」 |
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「さっきからずっと呑んでるじゃない。そろそろやめたら」 |
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「いいの! ねえ、ママ、聞いてよ」 |
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「ここはスナックじゃないし、私はママじゃないわよ。それに仕事の愚痴なら聞かないわよ」 |
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「命を預ける仲間同士じゃない」 |
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「そんな関係だから聞かないのよ。明日から仕事しづらくなるじゃない」 |
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「だってセクハラの相談なんて、あなた以外にできないもの」 |
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「同性ならデュナンがいるでしょ」 |
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「あの子はダメよ。女性として方向性が違いすぎるもの」 |
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「私、全身サイボーグだから性別は超越しちゃってるけど、DNAはオスよ」 |
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「でもオカマでしょ?」 |
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「ボーダレスなだけ。デュナンがダメならランス隊長にすればいいじゃない。ES.W.A.T.である私たちの直属の上司だし」 |
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「ムリムリ。今日もES.W.A.T.がオリュンポスにおいて効果的に機能するための提案書をテキストにまとめて報告しろとか、いつの時代の人間よ。ねー、サムライ・ロック!」 |
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「残念。ポセイドン製のお酒きらしちゃってるの。軽いのにしたら」 |
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「じゃあブラック・ルシアン。ウォッカ多め」 |
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「……お酒呑むと性格変わるんだったわね」 |
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「いいの! ES.W.A.T.がなんたるか、まだ言えるもの!」 |
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「言ってご覧なさいよ。言えたらおかわりあげるわ」 |
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「えっとね、ES.W.A.T.――ESpeciality Weapon And Tactics――はオリュンポスの内務省治安局長直属の攻性のカウンターアタックテロ部隊であり、警察的な捜査機能も持ちあわせる超法規的な部隊である。
オリュンポスにいる隊員は90名弱。その中のランス直属の選抜アタックチームが私たち。ランス隊長を筆頭に、万能アタッカーのデュナン、ヘカトンケイルのサイボーグ・ブリアレオス。ベテランのマグス、肉体派で格闘教官でもあるリエス、ストイックなバクスタ、そしてデカトンケイルのあなたと、情報分析担当の私。上には治安局長である大佐と、その上にアテナ内務大臣とニケ参長。
オペレーションにはランドメイト・ギュゲスでのアタックを基軸とするが、軽装備としてガーシム、またはオークでのアタックも想定されるため……」 |
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「わかった、わかったわよ。はい、お酒」 |
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「わかればいいのひょ」 |
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「ろれつまわってないわよ。それにお酒くさい女なんて嫌われるんじゃない?」 |
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「今更誰に? 司法省のFBIとは犬猿の中。普通警察やS.W.A.T.たちからも嫌われてるし、うちの男どもなんてうんざり。あの、セクハラ野郎ども!」 ――パリン! |
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「あ、グラス」 |
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「おひゃわり! セブンス・ヘブン!」 |
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「これ以上呑んだら、ほんとに天国いっちゃうわよ?」 |
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「ここ天国じゃないの?」 |
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「テロリストたちの恰好の的になってるオリュンポスが? いえ、意図的に『的にしている』かしらね」 |
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「お酒がいっぱいあるならどこだって天国よ」 |
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「ほんとにあなたって人は……。それでセクハラってなにされたのよ」 |
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「なにそれ?」 |
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「あなたが相談してきたんじゃない」 |
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「忘れたあ、アハハハ」 |
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――ピピピピ! | |
「……誰よ……、こんなときに。……ランス?」 |
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「やだ、店じまい?」 |
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「はい、こちらジーナ。……了解。直ちに向かいます。グリッグ。マルサンマルマル、本部集合」 |
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「酔い覚ましいる?」 |
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「もう飲んだわ。いきましょ」 |
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「りょーかい」 |